現場の声を聞きながら進めるバックオフィスDXの考え方

現場重視のバックオフィスDXの考え方

WEB制作担当として入ったはずが、記帳代行を手伝うことに

税理士事務所でWEB制作担当として働き始めましたが、少人数の事務所だったこともあり、自然な流れで記帳代行の業務にも関わることになりました。
当時の私は、簿記3級も持っておらず、「経理の知識が不足している自分に記帳代行ができるのだろうか」という不安感もありました。

簿記の知識がなくても回る“仕組み化”という発想

税理士の先生は、「将来的に、記帳代行の業務をもっと仕組み化していきたい」という考えをお持ちでした。

経理ソフトを効率よく活用し、手間と時間がかかりがちな記帳代行の作業を効率化する。
毎月決まっている作業を自動化することで、時間を取られがちな定例業務を減らし、スタッフにはより専門性を活かした業務に集中してもらう。

その方針に触れたとき、私は「知識」が十分でなくても、「仕組み」でカバーできるのではないかと感じるようになりました。

経理業務がDXと相性が良いと感じた理由

先生の意向をうけて、スタッフの方々のご協力の元、経理ソフトの初期設定やテンプレート化を進めました。こうした業務を進める中で、「経理という仕事は、DXと非常に相性が良い分野だ」と感じるようになりました。理由はいくつかあります。

  • 数字を扱う業務が中心で、転記やコピー&ペーストによる作業でミスを防ぐことができる
  • 銀行口座と経理ソフトをAPI連携することで、入出金データを自動で取り込める
  • あらかじめ決めた勘定科目を紐づけることで、仕訳作業を半自動化できる
  • 紙で受け取っていた書類を電子データで管理することで、確認や共有が容易になる

証憑を電子保存し、フォルダ構成やファイル名を工夫するだけでも、「探す時間」や「確認の手間」は確実に減っていきます。

Excelと経理ソフトで進める経理業務の効率化

昔から、Excelはどこの会社のPCにも入っているソフトの一つではないでしょうか。

関与先から受け取ったデータを、経理ソフトにインポートする際のデータカスタマイズなどに、威力を発揮します。
操作や指示を間違えなければ、PCはミスをしないので、人間が行うと起こってしまうケアレスミスを、このやり方で防ぐことができます。

PCが得意なスタッフが一人いるだけで、煩雑になりがちな仕訳や記帳代行業務は大きく効率化できます。経理ソフトも日々進化しているので、Excelと組み合わせることで、経理業務の効率化はさらに進むと思います。

一方で、経理ソフトの初期設定や運用ルールの設計・クラウド併用のデータ管理などは、以前よりも複雑になってきているのも事実です。

業務効率化はツール導入だけでは実現しない

しかし、効率化を追い求めるあまり、一気に効率化を進めてしまうと、現場は混乱します。
幸い、私が勤務していた事務所では、そのような混乱は起きませんでした。税理士の先生が、スタッフの意見をよく聞いて、DXを進めておられたからです。

現場の実務と効率化が合わない場合は、一度立ち止まって再検討。後戻りできる状態を保ちつつ、効率化を進める。少しづつ、前進していきました。
振り返ってみると、これがスムーズに効率化できた最大のポイントであったと思います。

DXは確かに便利な仕組みです。しかし、日々その業務を担うのは現場のスタッフです。どれほど高機能なツールであっても、現場の流れや使い方に合っていなければ、かえって手間が増えたり、使われなくなってしまうこともあります。

だからこそ、導入して終わりではなく、日々の業務に無理なく根付き、定着するまで状況に合わせて調整し続けることが重要だと感じました。

現場の声から始めるバックオフィスDX

最近はDXが盛んに言われていますが、私自身、事務や営業アシスタントなど後方支援の現場に長く関わってきたからこそ、

「できること」「できないこと」「やらない方がいいこと」

も含めて、現場に合う形を一緒に考えることができます。

まずは「今どう回しているか」を丁寧に聞くこと。

その上で、手戻りが起きている箇所や、人によって迷いが生じている部分を見つけ、仕組みの前に“流れ”を整えることから始めます。業務効率化は、ツールを導入することがゴールではありません。日々の仕事が、少し楽になることです
だから私は、ツールを提案する前に、まず現場の声を聞くことを大切にしています。仕組みづくりを通して、無理のないバックオフィスDXを支えること。これが、私が大切にしているバックオフィスの効率化の形です。

今回のコラムでは、これまでの経験を通して感じたことをまとめました。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

This article was written by Ai Sakata, representative of A_design7.com, in June 2026.